電話代行の新しいサービス!電話リレーサービスについて解説!
皆さんは“電話リレーサービス”という言葉を聞いたことがあるでしょうか?令和3年7月より開始された国主導による新しい電話サービスの名称です。主に聴覚や発話に困難のある人に向けた電話代行サービスとして、これからの普及が期待されています。今回はそんな電話リレーサービスについて詳しく解説します。
電話リレーサービスとは
電話リレーサービスとは、聴覚や発話に困難のある聴覚障害者等(以下、きこえない人)と、聴覚障害者等以外の人(以下、きこえる人)との電話を通訳オペレーターが手話・文字と音声に通訳することで、即時双方向につなぐ公共インフラのサービスです。令和3年11月末時点での登録者数は約8,000人にのぼり、これからますます利用者が増加していくと見込まれています。
■電話リレーサービス制度化の背景
今や電話は、遠く離れた人とでもすぐに連絡が取れる日常生活にはなくてはならないインフラです。一方で、電話はもっぱら音声のみで意思疎通を図るため、きこえない人にとっては使いこなすことが難しい通信手段といえます。
日常生活でのほか人とのコミュニケーションをはじめ、行政機関での手続きや緊急時の連絡、仕事上での業務のやりとりなどさまざまなシーンにおいて、きこえない人たちは困難に直面しているのです。こうした状況を受けて、国は“聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律”(令和2年法律第53号)を制定、電話リレーサービスが公共インフラとして制度化されるに至りました。
■電話リレーサービスの仕組み
次にサービスの具体的な仕組みについて解説します。ここでは、きこえない人がきこえる人へ手話で電話をかけるシーンを例にとってお話します。まずはきこえない人が携帯電話の専用アプリを立ち上げ、連絡したい人の電話番号を入力しましょう。入力後は、手話か文字のどちらを使用するかの選択画面が表示されます。
手話を選択すると画面に手話を話せる通訳オペレーターが現れ、連絡先と電話を繋いでくれて会話がスタートします。会話中は、きこえない人が手話で通訳オペレーターに話しかけると、即座にその内容を声にして相手に伝えてくれるのです。相手からの声に対しても、通訳オペレーターがすぐに手話にしてくれるため、双方向でのコミュニケーションが可能になるという仕組みです。
電話リレーサービスの活用シーン
ここでは電話リレーサービスの具体的な活用例を見ていきましょう。
■緊急時
緊急事態が発生した際には、110番、118番、119番への連絡が可能です。
■病院への連絡
急な体調不良の際にも病院へスムーズに連絡できます。あらかじめ病院に連絡先を伝えておけば、状況確認などで病院からの連絡も受けられ非常に便利です。
■家族や友人との会話
家族や友人と話したいときにいつでも話せるのは嬉しいですよね。これまでは会わないとなかなか伝えられなかったことも、電話リレーサービスによって気軽に伝えられるようになるでしょう。
■仕事先への連絡
働いている人にとっては、職場とのやり取りでもやりにくさがありました。電車の遅延が発生した際や、外出時の帰社が遅くなってしまったときなど、さまざまなビジネスシーンでわずらわしさがなくなっていくはずです。
■店舗の予約
さらにレストランの予約なども可能になります。今まで行きたかったけど予約できず諦めていたお店も、もっと気軽に行けるようになるでしょう。
■学校や塾からの連絡
学校や塾からの連絡は電話が一般的となっていて、不便を感じる場面も多かったでしょう。しかし、これからはあらかじめ先方に連絡先を教えておけば即座に連絡が来るため、いち早く対応を取ることができます。
電話リレーサービスの提供機関
サービス提供機関は、法律によって総務大臣が全国で1個のみを指定することになっています。現在、この指定は一般社団法人日本財団電話リレーサービスが受けており、毎日24時間サービスの提供を行っているのです。
今回は新しく開始となった電話リレーサービスについてお話しました。現代はSDGsやサスティナビリティなど多様性ある社会の実現が求められています。そんな中、電話リレーサービスはきこえない人の活躍の場を大きく広げてくれるツールとして、これからますます普及が進んでいくでしょう。